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Fashion

2021-22 Autumn-Winter Collection
"GROUND"

ANREALAGE Autumn-Winter 2021-22 COLLECTION “ GROUND ”

「天と地」 天は世界を覆う。それは非日常。 地は世界を支える。それは日常。 天と地が一つだったころ、非日常と日常を隔てるものは何もなかった。 上と下が分かれ、空と地面ができ、非日常と日常が生まれた。 天と地の間に人は在る。 人は天に生まれ、地に生きる。 上下に分かれた世界を人がつなぐ。 2021‐22年秋冬コレクション「GROUND」は、人が依って立つ足元を見つめた。空と大地の間で人が祈り、人が還るホームグラウンドをつ くった2021年春夏コレクション「HOME」が出発点。HOME(家)に還り、その足元に在ったのはGROUND(地)だった。 GROUNDは人が立つ場所。 GROUNDは人が還るところ。 GROUNDは日常の礎。 コロナ禍がもたらしたデジタルのファッションショーは、軽々と世界の距離を縮める一方、すべてをフラットにした。画面の中は天と地もな く、重力と質量までもが消えた。 「GROUND」はデジタルの中で、重力と質量を取り戻すコレクション。天地逆転がそれを可能にする。 ランウェイを歩くモデルの足は天に支えられる。重力が反転し、服のドレープや模様は地から天へ引き寄せられる。重さが軽さになり、軽さ が重さになる。 等間隔に並ぶ水玉柄、市松柄、千鳥柄、花柄、星柄がすべて重力に逆らって地から天に向かう。裾は柄がなくなり無地にかわり、柄はすべて 肩に寄る。 洋服のディテールも本来あるべき場所から解放され、天に引き寄せられる。腰ポケットや腰ベルトは肩に寄り、ボタンやスタッズなどの細部 も、自由な場所に浮遊する。ポケットのフラップは上にめくれ、靴紐やリボンや襟が逆立つ。 本来下にある裾は肩の上までめくれ上がり、普段見えない服の裏地があらわになる。めくれ上がった服の表と裏の隔たりがなくなる。やがて 服の上と下の隔たりもなくなり、襟と裾が共存する。 天と地の亀裂は、非日常と日常の境目。 見過ごしてきた光景がここにある。 天と地が二つに分かれても、それは交じり合うことはできる。 天が地になり、地が天になる。 非日常を日常に変えたいと天に祈る。 そして、日常を非日常に変えたいと地に願う。 音楽はサカナクション・NFの山口一郎氏と同じくNFの青山翔太郎氏が参加。1800年代にフランスを中心に活躍した作曲家ジャック・オルフェ ンバックによる「天国と地獄」に対して、サウンドエフェクトやビートを加え、自在にアレンジした。「クラシックでありながら現代的。対 極の時空にある二つの音楽が一つの空間の中で混じり合うことで、天と地の共存を目的とした今期のテーマに相応しい楽曲が誕生した。