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Fashion

2022 Spring-Summer Collection
"DIMENSION" AT "U"

"DIMENSION" AT "U" BEHIND THE SCENE


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ANREALAGE Spring-Summer 2022 COLLECTION “ DIMENSION ”

仮想世界は二次元。非日常の世界。 現実世界は三次元。日常の世界。 仮想とは、現実にはない世界を仮にあるものとして考えてみること。 現実とは、事実として目の前にあらわれている世界そのもの。 2022年春夏コレクション「DIMENSION」は 二次元と三次元を越境する。 画面の中の世界は二次元。 細田守監督最新作「竜とそばかすの姫」のアニメーションの世界。 劇中に存在する仮想空間’’U’’でコレクションが幕を開ける。 CGアバターモデルが、宙に浮くガラスのランウェイを歩く。 画面の外の世界は現実。 ’’U’’が投影された真っ白な空間を、実在のモデルが歩く。 コロナ禍がもたらしたデジタルのファッションショーは、 軽々と世界の距離を縮め、すべてをフラットにした。 画面の中では、立体と平面の区別はなくフラット。 画面の中と外の境界もまた、消えていく。 画面の外で纏うだけでなく、画面の中でも纏うことができる。 ■ 今シーズンの洋服は、全てのパーツが三角形のポリゴンでつくられている。 三角形のパーツは2021春夏コレクション「HOME」に由来する。 「HOME」で描いた三角錐の空間は、まるで結界のように人を守る。 テキスタイルには抗ウィルスのフルテクト素材を用いた。 ポリゴン自体は三角形の平面だが、ポリゴンが集まることによって立体が生まれる。 隣り合う三角形同士の間に浮かび上がるのは線。 それは平面と立体の境界線であり、二次元と三次元の境界を表す。 平面でつくられてきたパッチワークは、ポリゴン構造によって立体造形に変わる。 アンリアレイジが続けてきた、異なる面を縫い繋ぐパッチワークは、異なる層を積層するパッチワークとなり、平面と立体が入れ替わる。 曲線的な花柄は、ポリゴンでつくられた直線的な花柄に変わる。 有機的な花は、現実の象徴。無機的なポリゴンは、デジタルの象徴。 ルックには本物の花が閉じ込められたアクセサリーを添え、有機物と無機物が交錯する。 素材には時間経過を感じさせる古着のデニムや、デッドストックの織物を集め、 再び命を吹き込んだ。何十年も前の素材が時をかけ、現代の服としてよみがえる。 過去と未来は服の上で共存する。 ありとあらゆる色が、画面の中では光に変わる。 その光は、画面の中でしか存在しない色だ。 画面を通して見ると、「現実」とは全く異なる「仮想」が現れる服。 光の「反射」によって、元々の「現実」とは違う「仮想」が画面に映し出される。 それは画面の中でも外でもなく、どちらも現実だ。 ■ 仮想世界の宙を舞う三角形の布の欠片が集結し、現実世界で形を生む。 やがて布の欠片は宙に舞い散り、仮想の世界へ消えていく。 二次元から三次元が現れ、三次元がまた二次元へ。 現れては消える無数の三角形は、蝶のようにも見える。 デジタルの三角形に命を吹き込む作業は、 アニマ(ANIMA・魂)を語源とするアニメーションの原点だ。 「DIMENSION」は、形なきものに、魂を吹き込む願いであり、 消えゆくものを、再びこの世界に呼び戻す祈りである。 もう一人の自分。もうひとつの世界。 日常の中に非日常があり、非日常の中に日常がある。 2021年10月2日 ANREALAGE 森永邦彦